緑づくしの花屋



縦長の緑色の建物。
外の壁は木で出来ていて、
緑の塗装はすでにはげかかっている。


ドアの間口は広く、
ガラスがはめ込まれた引き戸で、
枠は壁より少し明るめの緑色。



ドアが半開きなのが、
お店が開いている証拠。
それからドアの前には、
ポットに入った植物がたくさん。

大きいオリーブもあれば
小さな鉢植えのパンジーもある。



そして古びた緑色の壁とは裏腹に
ドアの上に取り付けられた
ネオンの看板には、こう書かれている。
” GREEN SHOP by green fingers “


それがお店の名前なのか、
ただのコンセプトなのか
それはわからない。


だけど、”green finger”という単語は
「植物に愛された人」という意味を持つ。
植物を育てる才能を
生まれながらに持つ人のことだ。

なんかいい名前じゃないか。



何もかもが緑だらけの
このお店にぴったりだ。



中に入ると、お花のいい香り。
お花屋さんはどこも同じ香りがするのは
何でなんだろう。



お店のど真ん中に置かれた大きなテーブル、
そこに、所狭しとガラスの花瓶が置かれ、
色とりどりのお花が並ぶ。


これまた緑色の枠の窓から
太陽の光が差し込み、
お花が照らされている。

なんと幻想的な風景なのだ。



生の植物を見るのは
「あぁ、いいなぁ」の
その先がある気がしている。

自然が織りなす色。
香り。規則的な形の花びら。
見れば見るほど、
心を温めてくれるような。



お花の並ぶテーブルの周りには、
ポットや植物たちが並ぶ。
ジョウロやスコップなんかも。



外の壁と同じ色をしたカウンター。
きれいに髪を束ねた人が
エプロンをきちっと着て、
お花を束ねてくれた。




植物やお花なんて、どこでも買える。
スーパーやその辺のお花屋さんだって。

でも、ここがすごいのは
お花の保ちが違うのだ。

あり得ないほど、長く保つ。



わざわざ来る価値のあるお花屋。
green fingersのいるお花屋。



だから今日も長いお花を背中に抱えて
えっちらほっちらと持ち帰る。



いつ開いているかわからない、
名前もはっきりしないけど、
また、来てしまうこの店を背に
私も気づけば、緑色の自転車に乗っている。





*この物語はフィクションです。
お店は実在しませんが、
私が緑色の自転車に乗っているのは
ほんとうです*









いしかわあやか