「生きる」エッセイ集




“田島征三”という絵本作家のことを
これまで聞いたことが
なかったのだけれど

「生きる」ということについて
これほどまでに身を持って
伝えてくれる人がいただろうか。



私たちの毎日の
食べる、寝る、トイレへ行く、
そして、人との関わり、

今の私たちにとっては
ただの”行為”であるけれども、

それは田島さんにとっては
「生きる」ことそのもの。




このエッセイ集の中で彼は
自分の育てたヤギを食べたり
悪さをする犬を捕まえて食べたりする。


それを大抵の人間は嫌がるだろう。
捌いているところを見たら
食べる気が失せてしまうだろう。


きっとわたしもそうだ。


だけど、じゃあなんで、
スーパーマーケットに並ぶ食材は
全く心苦しむことなく食べられるのか。

鶏だって牛だって豚だって
お魚たちだって、同じだろう。
野菜だってきのこだって
立派な生きものではないか。



「命をいただいて生きている」
という生きる上での当たり前が、
なぜだか今の私たちの生活からは
すっぱり抜け落とされている。


そしてそれを “わかったふり” をして
たまに動物への同情を寄せてみたりする。





自ら野菜を育て、家畜を飼い、
それを食す。

トイレは使わずに、
排泄物は土の栄養になる。

ウソや見せかけの”ヒューマニズム”を嫌い
そういうものとは一線を画す。

変態で女好き。


そんな田島さんが描く
笑いあり怒りあり涙ありの
エッセイ集。




現代人であるからこそ
一読の価値ありだと思う。






土と草と風の絵本 (新潮文庫)

(古本しか販売されていないようです)

いしかわあやか