想像力のゆくえ



仕事を選ぶ上で、誰もが、
考えたことがあるんじゃないだろうか。


「職業の特権」についてだ。



わかりやすいところから行くと、

例えば飲食店は、
売り切れなかった料理を
持って帰れる、とか。

小売店は自分の好きなものは
割引して買える、とか。




そして、それを想像するのは楽しい。

いや、かつては楽しかった。


ケーキ屋さんになったら
ケーキをたくさん食べられるのかな、とか

CAさんになったら
どこでも好きなところに行けちゃうのかな、とか

ディズニーランドで働く人は
いつでもタダで遊べるのかな、とか。



夢は膨らむ一方だった。




じゃあ、JRやメトロの社員さんは
どうなんだろう。

電車に乗り放題なのだろうか。


これも、いつかふと想像したことのひとつ。



この物語では、
まさにそんな想像が描かれる。

厳密には大人の世界じゃなくて、
働く子供たちの話、なのだけれど。



キップをなくした子供たちの世界。



東京駅内でみんなで暮らし、

電車には乗り放題、
駅弁食べ放題、
お買い物し放題、、、




ちょっと羨ましくも、

現実離れしているな、と
考えたりもしたんだけれど。




それはそれで、いいじゃない。
想像にどっぷり浸れる物語。

小説の役割はそうでなきゃ。ね。






キップをなくして (角川文庫)

いしかわあやか